時代を視る

2024年11月ニュースレター 時代を視る NO364

2024年11月10日

一般財団法人WIN WIN 代表 山口 積惠

第50回衆院選(10月27日投開票)に伴い、公示に先がけて赤松良子さんの遺言執行人である住田裕子弁護士から、WINWINが特別なご配慮を受けたことを報告いたします。住田弁護士は、9月に国会解散の動きがあったことを受けて、WINWINの資金需要に緊急性があると判断され、他の受遺者の方々にも説明をした上で了承を得て、特別措置として9月25日に、赤松良子さんの遺産の一部となる3000万円をWINWINに先渡しという形で送金してくださいました。選挙では、会員の27名からのカンパとなる選挙活動支援金及びWINWINとしてプールしていた選挙支援資金に加え、貴重な赤松良子さんの遺産の中からも推薦候補者に対して支援金を拠出したことをお伝えします。またその後、10月31日に遺言執行人から2000万円の送金を得たことも報告いたします。WINWINは今後も赤松さんの遺志を継ぎ、託された遺産は一人でも多くの女性議員を増やす活動に使っていきたいと考えています。

 

さて今回の選挙結果ですが、自民党派閥による「裏金問題」が争点の一つとなっていた与党の自民・公明両党が、公示前から議席を減らし215議席となり、過半数(233議席)を割ってしまいました。自民党は191議席(公示前256議席)、公明党は24議席(同32議席)でしたから、有権者の「ノー」の声が想像上に高かったといえます。一方、野党各党では、立憲民主党が148議席(公示前98議席)、国民民主党が28議席(同7議席)、れいわ新選組が9議席(同3議席)などと議席数を伸ばしています。自公の過半数まで、単純計算してマイナス18議席。ですが、裏金問題で処分を受けて、無所属で出馬した議員が戻り、無所属の議員が自民党会派に入れば、マイナスは一桁になる・・・という声も聞こえてきます。いずれにしても、11月11日に召集される特別国会での首相指名選挙では、キャスティングボートを握るのは、大飛躍した国民民主党だといわれていますから、結果を待ちたいと思います。

 

では、今回の選挙で女性国会議員の当選状況はどうだったでしょうか。2009年に行われた衆院選では54名でしたが、今回は73名で過去最多でした。しかし、全体に占める割合ではわずか15.7%で、この数字は決して高いとは言えないでしょう。

今回の衆院選では、WINWINは超党派で11名の女性候補者を推薦し、支援金を送ることができました。当選者は8名でしたが、この結果を天国の赤松良子さんは、どう評価されるでしょうか。

 

第十期赤松政経塾が9月から開催されています。10月19日に開催された第2回目の講師は、猪口邦子さん(自由民主党参議院議員)が「温暖化による海面上昇と領海保全」をテーマに、WINWIN会員で環境問題に詳しい池田晶子さんが「環境課題である生態系について」をテーマに講演しました。今回は猪口さんの講演を紹介します。

登壇した猪口さんは「一般的に女性の国会議員候補者の当選確率は二分の一程度です。だから女性は2倍の努力をする覚悟が必要です」と発言されました。

現在、猪口さんは、自民党内で「領土に関する特別委員会」の委員長を務められています。同委員会では一昨年来、わが国の領土と海洋権保護の観点から、気候変動による海面上昇に伴う海岸線の移動に伴って、EEZ(排他的経済水域)の範囲が移動するか否かについて、法的に明らかにする調査・研究を続けてきたといいます。

猪口さんは「調査・研究のまとめでは、気候変動による海岸線の後退があっても、国連海洋法条約(UNCLOS)に従って設定された既存の基線と海域を維持することは許されるということが明らかになりました」と言い、提言書を林芳正官房長官に提出したと説明されました。

また、初代少子化大臣として、出生率をあげるためにとった政策の解説とともに、女性問題についても自身の体験から「選択的夫婦別姓を支持しています。そして、仕事と家庭を両立するための選択的週休3日の導入をすすめたいと考えています」と話されました。

 

アメリカの大統領選挙が終わり、トランプ氏が返り咲きの当選を果たしました。ハリス氏にとって、大統領というガラスの天井は想像以上に高かったのでしょうか。いずれにしても、世界が平和へとベクトルが向いていくように願わずにはいられません。