
時代を視る
2025年2月ニュースレター 時代を視る
2025年2月15日
一般財団法人WIN WIN 代表 山口 積惠
1月20日、アメリカではトランプ大統領が返り咲き、第2次政権を発足させました。就任宣誓では、想定していた範ちゅうを超えた政策が飛び出したことに、戸惑いを感じた人は多かったのではないでしょうか。
トランプ氏は就任後に、前政権が出していた、気候変動対策や性的少数者(LGBTQなど)に関する78の大統領令をいとも簡単に無効にしました。自国の利益を最優先することは既に分かり切っていたものの、「(石油・天然ガスを)掘って掘って掘りまくれ」「数百万の犯罪外国人を送り返す」にも驚きましたが、「男性と女性の2つの性別のみが存在する」には、正直、失望感を抱きました。「関税」を使って各国を脅すことにも疑問が残ります。
加えて、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」からの再離脱と世界保健機関「WHO」からの脱退も断言しました。地球温暖化対策では、思い出してほしいのですが、近年地球上で気候変動に伴うといわれる異常気象や自然災害が目立ちます。世界の温室ガス排出量の1割を占めるアメリカの離脱が、今後どのように国際社会に影響を与えるのか気になります。石油や天然ガスを掘って掘りまくることが、持続可能な地球を生み出すとは誰も思わないのではないでしょうが、追随する国が出てこないとは断言できません。経済的に最も豊かな国の一つであるアメリカが、こうした世界的な取り組みに後ろ向きになることが、分断を引き起こさないかと懸念します。
2月はまさに受験シーズン真っ只中です。受験生の方々の願いが叶うことを心から願っています。春はそこまで来ていますよ。現在の日本では、教育の場では男女平等であると言われています。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の全体では118位と先進国の中では最下位ですが、項目別にみていくと、教育は72位であり、「教育達成度では日本は99.3%のスコアで事実上平等を達成している」と分析していることからも裏付けがされています。
なぜこんなことを言うかといえば、教育を受ける機会を失ってしまったアフガニスタンの女性たちのことを思ったからです。2021年に復権したタリバンは、等教育(日本における中学・高校)の女子教育を停止し、その後大学でも同様に女性教育の停止が拡大されています。これだけでも、アフガニスタンの女性たちの失望感を思うといたたまれないのですが、タリバンの女性迫害はさらに続きます。
唯一、男性の医療従事者が女性患者に接するのはタブー視されていることもあり、医療・看護の分野に限って例外的に女性の教育を認めてきました。ところが、それさえも停止しました。これで女性は教育のみならず、医療も受けられなくなってしまうのです。
さらに直近の報道によれば、「タリバン政権が女性の姿が映る窓の設置を禁止する」という驚くべき規制を発表しています。既にある家などでは、外からの視界を遮る壁を設置せよというものです。これでは女性には人権が無いに等しいのでは・・・。タリバン政権のこうした女性権利無視の規制については国際社会でも問題視されていて、国レベルでの対応もあると信じていますが、市民としてできることは何だろうかと考え、せめて身近な人たちとこの窮状について共有したいと思いました。
赤松良子さんの一周忌となる2月6日に、有志でお墓参りをしました。墓前で赤松さんの口癖だった「女性議員が増えれば社会が変わる」を改めて心に刻み、WINWINのこれからの活動に身が引き締まる思いでした。(理事・甘利てる代)