時代を視る
2022年8月ニュースレター 時代を視る NO340
2022年8月10日
win win代表 赤松良子
世界経済フォーラム(WEF)が2022年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本の指数はなんと146カ国中116位(総合)と、G7中最低。一時101位にまで行き、二桁になるかと期待したのに、また後退してしまった。韓国に抜かれたなと思っていたら、あちらはそのまま二桁入りを果たして立派! 日本のまづいのは、政治の分野での139位。これは昨年秋の衆院選で改善を望んだのに、大勝した自民党が女性比率ではさっぱりというのが災いしたためと思われ残念である。選挙権を持った人口の半数(もしくは少し上)は女性が占めているのだから、他人のせいにはできまい。女性自身の選択だろうと言われてしまう。
分野別にみると、教育の分野で日本が1位というのは文句なし! 確かに、初等、中等、高等(4年制大学)まで男女50:50で、識字率は女性の方が高い(殆ど100%)というのだから・・・。
大学院レベルになると、女性がやや低いというが、いずれにこれも改善されることは期待できよう。
健康分野で63位というのは何故だろう。世界一の長寿を誇り、近頃は出産直後の死亡も殆どみられない(出産自体が減少)のではないのか。コロナ(新型)の流行のせいか? 風水害が起こるせいか。それなら女性の方が多いということは考えにくいように思えるが・・・。
経済の分野で、日本が121位というのは情けない。就業率が低いのは、産業構造の変化(農業→工業)の過程で、専業主婦が増加したのと、M字型と呼ばれる女性の就業の形が定着した結果と思われる。そのせいで女性の就業年数が短く、中断するので責任感が低くなり、管理職に昇れないと指摘される。
退職しなくても、出産・育児中は残業は難しい。
それやこれや、男女間の賃金格差は大きくなり、女性の地位が全般的に低下する。それでも、政治分野よりもましだが、先進国中最低である。
ただ、これは、育児休業制が普及すること、保育施設が充実すること等、社会的に育児中の就業が楽になることによって脱することが可能である。現に、M字型雇用と言われるタイプの女性の就業のMの下の部分が上昇して平(たいら)になっていく傾向は見られる。
女性の就業率も、クオータ制を取り入れる企業が増えることなど、社会全体の労働力不足状態解決への努力と相まって上昇するであろう。女性の仕事は、育児で中断という定型化は避けられるということは、先進国が示しているのではないだろうか?
「ジェンダー・ギャップ指数」の中で、とびぬけて上位にあるドイツ(10位)は、やはりメルケル首相というトップの力が長かったのが影響しているのだろうか。とすると最近女性が首相になったフランスが楽しみである。
では日本は何時(いつ)女性がトップに立つのを見ることができるのであろう。