時代を視る
2016年2月 ニュースレター 時代を視る Vol.191
2016年2月10日
WIN WIN代表 赤松良子
2016年は大きな選挙のある年だ。秋にアメリカで大統領選挙、わが国で初夏に参議院選挙が予定されている。そして先月台湾で総選挙があった。その結果、与党=政権党が惨敗し、野党が大勝、近く政権交替となることが予想される。ということは建国以来はじめて女性が台湾総督になるわけで、この後、アメリカでヒラリー・クリントンが大統領に当選したら、日本の東、西(韓国=パク大統領)、南の国のトップが女性ということになる。ヨーロッパでは、友好国ドイツのメルケル首相が大活躍で頼もしい限り。EUの母と敬慕されているとか・・・。
こうした状況だから、外国人ジャーナリストなどから、日本では何時女性の首相が出るのか? と聞かれる事が増え、何と答えればよいのか困ってしまう。本当に何と答えれば良いのでしょう? 正直言うと、予想がつかないではないか、非常に残念だが・・・。そこで答えは、「当分実現しないでしょう」になる。次の質問は当然、「何故ですか」とくる。さあ困る。ああでもない、こうでもない、煎じ詰めれば、日本の社会が男尊女卑だから、なのだが、そう言っては身も蓋もない。全体として女性の地位が低いから、と言いかえてみても、不十分な説明でしかない。女性参政権が実現してから70年も経つのに、何故女性の地位が高くならなかったのか、という問いを誘い出してしまうのがオチである。たしかに、国際的な評価を見ても、先進国中女性の地位については、日本はビリの方、3桁代なのだから、悲しくなってしまう。
明るい面も勿論ある。寿命の長さでは日本女性は世界一だ。子供を沢山生まないということも影響しているが、出産時に死ぬ女性は殆どいないし、健康に恵まれている。教育水準も高く、識字率の高さは殆ど100%、男性より高い。経済面では、就業率が先進国中低水準で特に管理職の中の女性の少なさは問題である。
そして政治分野で一番低く、国会議員が1割にもなっていないのが目立っている。だから、首相の座を得られないというのも当然というわけだ。体が丈夫で、教育水準も高いのに何故女性の政治的地位が低いのか? それは「男は仕事、女は家庭」という通念に支配されているからであろう。そこから、「男は妻や子を養っている」「女は扶養家族なのだから男を立てろ」という系が出てくる。
妻が議員に立候補したいと言うと「夫を差し置いて何事だ」と言われてあきらめる。これでは女性議員は増えるわけがない。「男は仕事、女は家庭」というのは単なる役割分担であって男女差別ではないという議論があるが、それは違う。その分業の結果は直に差別につながっているのだ。専業主婦という表現は扶養家族の別名、いやイコールなのだということに気づかなければその状態から脱することはできない。専業主婦という名の女性が先進国中断然多いのが日本(そして韓国)であるということをはっきり認識しよう。そうすれば、日本に女性の首相が当分出ないことへの説明になるであろう。「オヤ、韓国の大統領は女性だが・・・」然り、だがこれには別の要素があるので、今日のテーマから外れるでしょう。