時代を視る

2016年12月 ニュースレター 時代を視る Vol.201

2016年12月10日

WIN WIN代表 赤松良子

2016年もあと三週間、クオータ制を推進する法案は宙ぶらりんのまま年を越しそうである。

国際的比較での女性の地位は、下る一方で、数年前に先進入りをした韓国にも抜かれて

しまった。外国でいいことがあればと期待していたが、ヒラリー・クリントンのまさかの敗北で、

これもがっかり。お隣のパク大統領もスキャンダルまみれであと数ヶ月で退陣とか。台湾の

女性総統は健在だが、?印の多いトランプ氏と大統領に就任前から好みを通じているという

のは、ほめていいのかどうなのか迷ってしまう。

健在なのは東京都知事(小池氏)と野党民進党の代表(蓮舫氏)のお二人か? しかしまだ

実績を数えるほどの日はたっていないので、じっと見守っていくのが正解であろう。

プライベートな生活では、大きな変化は無く、幸い健康に過ごすことができた。馬齢を重ねる

という言葉があてはまるのか、馬というのは元気で走る動物だから、それも悪くない。残念乍ら

馬には乗れないので、船と汽車に乗って、北と西に旅をしてみた。9月のサハリンクルーズと

11月の萩訪問である。

クルーズは、三食昼寝付きで、知床半島を眺め、ロシアでバスに乗って正教大寺院を訪問し、

小樽、函館、青森と北国の小都市を味わった。10日の旅で、かなり高価なので費用対効果の

点では問題がある。「ロシア帰り」といって威張れるかと思ったが、ロシアといっても、シベリアの

果てでは、みるべきもの何もなく、みやげ屋で買ったものはパリの香水という始末。ロシアの

見所は、やっぱりサンクトペテルベルクかモスクワにあるのではなかろうか。この旅で一番

よかったのは、小樽の運河づたいに人力車を走らせたことだったといえるか・・・。

萩への旅は天気に恵まれ、歴史を想い、捨てがたい味わいがあった。

云わずと知れた明治維新発生の地、長州毛利公の城下町、かの吉田松陰の松下村塾が

あった場所、幕末の志士達が走ったであろう小路、桂小五郎の住居etc、etc、泊まった宿

(都茂恵旅館/ともえりょかん)が松本川に沿ってあり、松下村塾の所在地は松本村と知った。

何となくロマンティックな響きを感じていたのが、吉田寅次郎が松本村に住んでいたから、

つけられた名前だと聞いて、イメージが壊れたような気がしたり・・・。でも白壁の美しい真直に

のびた道を人力車(又も)で走るのは、良い歴史散歩とかなり満足。というのも車夫のをじさん、

これが「長州顔」なのだと思わせる細おもて、で鼻すじが通っていたのである。司馬遼太郎に

よれば、桂小五郎は女のような長い睫毛だったというから、祇園の名妓幾松さんが命がけで

かくまったり、鴨川の河原にひそむ小五郎に橋の上からおにぎりを投げ届けたりしたのもむべ

なるかななどと変に納得したり。ただし、人力車のをじさんは、車を引かせるのが気の毒になる

位のお年、つまりオジイさんでありました。司馬遼太郎の「幕末」や半藤一利の「幕末史」など

読んでいったわりに、低次元なことしかみてこなかったようで反省し、帰京してから「世に棲む

日々 ~吉田松陰と高杉晋作伝~」(司馬遼太郎)をⅠからⅣまで読了したことをつけ加えて、

本年の「時代を視る」の最後をしめさせて頂きたい。