時代を視る
2017年6月 ニュースレター 時代を視る Vol.207
2017年6月10日
WIN WIN代表 赤松良子
今朝の新聞(2017年6月7日・朝日新聞)の漫画は傑作だった。そば屋に首相そっくりのオジさんが座ったら、そこのオバさんが「こちらさん、『もり』『かけ』ダブルで」と大声をあげているのである。首相(らしきオジさん)は、「印象操作だ」と怒っている。
一面には、「加計文書」の記事、社説は「説明責任は首相にある-加計学園問題」
とカケでもちきり。
ところが二面は「改憲発議 突き進む自民」と、首相が九条改正へのハッスルぶりを書く。そばの食あたりしないのかしら、と心配してあげているのに・・・。
「カケ」問題というのは、はじめさっぱり訳が分からなかったが、文部科学省前次官の発言でやっと概要が理解できた(ような気がする)。獣医学部という獣医さんを養成する学部(長い間新設されていなかった)を加計学園という私立(首相と縁が深いらしい)の学校に設けることを文科省が認めるにあたって、候補を一つに絞り込んだ。
その際官邸トップの意向を忖度(ソンタク・とても日本的な表現)したという文書があったというのである。そんなはずがない。前次官の言っていることはおかしいと官房長官が反論し、前次官のプライベートな行動まで持ち出し、人身攻撃をする始末。しかし、同省の現職職員が「文書は省内でも共有されていた」と証言したと報道されては、勝負あったと思われるのではないか。
「モリ」の時も、はじめ首相は、森友学園など全く縁もゆかりもない。もしそんな事があったとわかったら、自分は首相も「国会議員」も辞めるとタンカを切ったのだが、その後、関係があったと判明したが、首相や国会議員を辞められたという話しは耳にしないし、何故気が変わられたのかの説明もさっぱり聞こえてこない。
しかし、「モリ」や「カケ」などは、たかが蕎麦の問題で、本当に重大なのは「共謀罪」なのかもしれない。70年前のことを言えば鬼が笑うか?
いやあの「治安維持法」のことは忘れてはいけない。猛威をふるった法律だったのだから・・・。
その法を思い起こさせる内容をもつものが、「一強」政治のもとではまたもや生まれようというのか、そんなことを許してよいのか。
「治安維持法」が成立したのは「普通選挙法」とバーターだったと言われている。
国民すべてに選挙権を与える(女性は除いて)のが、先進国たる必要条件だから、そうするが、その危険性を帳消しにすべく、国民の運動を厳しく取り締まるという発想がまかり通る時代だったのである。今、18歳以上、女性を含めて全ての国民は参政権を持つ。なんで「共謀罪」など認めるのか。国連の特別調査官も疑問を呈したが、これに日本の官房長官が大変な勢いでかみついた。国会の会期末が近く、何が何でも通さなければならない理由は何か? 次なるステップ=改憲(9条改正)を見据えてのことに違いない。まずはあまり問題にならないところから手をつけて、手続きを楽にし、やがて日本を「戦争をできる国」にする。次が「戦争をする国」なのであろうか。15歳まで「戦争ばかりする国」に育った私の「絶対およしなさい」が心からの遺言である。