時代を視る
2019年9月ニュースレター 時代を視る N0235号
2019年9月11日
win win代表 赤松r良子
毎年、8月の末にNWEC(国際婦人教育会館)で、全国から女性の集まる大きなイベントがある。この会館は文部省が女性のため宿泊所つきの集会所を作るべく巨額の予算を組み(国の財政に余裕があった時代)設立したもので、緑に囲まれた広々した良い雰囲気の施設である。こんな土地は都心ではとても見つからないから、池袋から西武線の電車でゴトゴト走り、武蔵嵐山というやや田舎ッポイ駅からさらにバスという不便さだから、楽ではないが、一年一度、北は北海道、南は沖縄から集う女性達と会える機会なのである。
今年はお天気は、日中(なかび)傘が要ったが、幾分涼しくなり、例年にも増して盛況であった。WINWIN自体ではないが、別動体のQ の会が大きな部屋でシンポジウムを開催して、日本の政治にもっと女性の声を反映させるべしと声をあげた。これは翌日の浅倉むつ子ゼミの会とも呼応して盛り上がりをみせていた。こういう会に出ていると、日本の女性は勉強もよくし、まじめで意識もたかいぞ、と実感できるのだが、国際的な指標では100位以下を低迷しているのは、全く心外である。健康の面では最高クラス。教育も基礎教育ではOKなのだが、高等教育特に大学院クラス以上になると落ち、経済でも、労働力率は高いが、管理職、専門職になるとランクが落ちてしまう。とりわけ政治の分野では低いランクである。 それというのも、国会及び地方議会での女性議員の割合が低率なためなのである。前回の参議院選挙が良い例だった。
与党の自民党と公明党とで女性の立候補―当選者があまりにも少ないのだった。野党は何とか、3割(立憲民主)、4割(国民民主)、さらに5割(共産)と目標をたて、それをクリアしたのだが、与党は目標の数値も示さず、当選者の中の女性割合も1割程度という結果だった。実際に政治を動かしているのは政権与党なのだから、ここに女性の姿がポツンとしか見うけられないとしたら政治はまさに男が動かしているということに他ならない。
それを反映して、閣僚の中にも女性はたった一人。これでは、「日本は女性の地位の低い国だ」と世界から見られても文句は云えないわけである。まもなく内閣の改造があると報道されているこの時期、せめて女性の閣僚がたった一人ということのないよう、強く望んでおきたい。女性の立候補の割合が少なすぎたと反省の弁もあった首相なのだから、指名権のある場所にその想いを反映させてもらいたいものである。
今年採択40周年を迎える女性差別撤廃条約では、条約の批准を国会が果たし、国連へ寄託することになった時、丁度、国際万博に出席すべく、東京を訪問中であった国連事務総長に、その文書を手渡す役をしたのが安倍晋太郎外務大臣だったこと(1985年)、この批准を推進して大運動をした女性団体の代表者たちが、外務省の講堂でそれを見守ったこと、批准のための必要条件だった男女雇用機会均等法の制定のために闘った労働省婦人局長(赤松)も列席できたこと、を思い出して感慨深いものがある。