時代を視る

2015年12月ニュースレター時代を視る NO.189

2015年12月10日

WIN WIN代表 赤松良子

今年も残りわずかとなった。戦後70年は、女性参政権実現の70年でもあった。

丁度70年前の12月に衆議院公職選挙法が改正され、選挙権、被選挙権が一挙に男女同じになったのだった。それを盛大に祝いたいところだが、現状を眺めると、心がはずまないのはどうしたことだろうか。

70年記念として開かれた都内2カ所のシンポジウムで、現職の国会議員が憤懣やるかたないという様子なのだった。新聞も「オッサン政治」の壁という大見出しで伝えている(東京新聞12月2日・夕刊)。彼女達が明らかにし、私達にも察せられるのは、国会や地方議会にはびこっている女性蔑視の風潮である。それは外の社会だって存在しているのだから、同じなのかも知れないが、それではおかしい。社会全般にあっては品性下劣な人間も稀ではない。無教養な男女も沢山いるだろう。でも国会は違うはずだ、と思いたい。

「選良」という言葉は明治時代には盛んに使われたらしいが、今、21世紀には死語になっているのか。でも英語にすればエリートだから、子供だって知っている言葉だろう。議員というのは、まさに選ばれた良き人々のはずである。それなのに、その中の少なからぬ人々がその名に恥じる行動をとって、酒の上であれば反省の気配も見せない、というのは、全くあきれるとしか言いようが無い。これでは、日本という国、外国からセクハラ王国と見られてしまうではないか。

話は違うが、嘆かわしい報道がもう一つ。「女性の登用目標 大幅後退 中央省庁20年までに30%断念⇒7%に」というのである。202030と調子よく、女性のリーダー的地位の中で占める割合を30%と目標を発表したのは2003年の小泉内閣の時だった。以来12年が経過し、今や2020年まで残すところ5年と迫った。それなのに、目標のはるか下方を低迷しているのだ。

内閣府の発表では、2015年の女性の割合は、国家公務員の本省課長・室長級が3.5%、都道府県の本庁課長担当職が8.5%、民間企業の課長担当職は9.2%である。当初、「民間に先行して積極的に女性の登用に取り組む」と謳っていたのに、遂になってしまった。民間が高い訳でもない(10%にも満たない)のに、これでは「女性が輝く時代」の看板が泣いてしまうというものだ。いや、「女性が輝く」もやめて、一億全部が輝くのが目標になった。「女性活躍推進法」はできたが、一億総活躍の中の一翼なのであろう。何しろ新法担当大臣は一億総活躍担当相の兼務(男性)なのだから・・・。

これまで、女性の活躍の場があまりにせまかったということに注目して、女性の活躍の場を増やそうという目標は見るまに薄まり、まあ今まで通りボチボチやりましょうという程度のことなのであろう。女性の活躍を、というのもかけ声ばかりとさめた目で見ていたのが、不幸にもあたってしまい、2015年は女性の地位に関しては大きな進展はなく終わりそうである。

こうなれば、今後、クオーター制推進に向けてがんばるほか道はないのであろう。