時代を視る

2017年12月 ニュースレター 時代を視る Vol.214

2017年12月10日

WIN WIN代表 赤松良子

世界のジェンダー・ギャップ指数での日本の位置が114位に下がったというので、日本女性の多くががっかりしたり、嘆いたりしている。The Global Gender Gap Index(GGGI)は2006年から「世界経済フォーラム(タボス会議)が、国別に「政治、経済、教育、健康」の項目を指数として算出して発表しているものである。2015年は101位、2016年は111位と下がり、これまでの最低となってしまった。総数は144ケ国なのだから、全くパッとしない位置である。

21世紀の世界で繁栄を誇っている日本が、男女の格差という点では3桁というのは、一体どういうわけか考えてみたい。

  ジェンダー・ギャップ指数 2017   

分 野 ギャップ指数 順 位
政 治 0.078 123位
経 済  0.580 114位
教 育 0.991 74位
健 康 0.980 1位
総 合 0.657 114位

表1

このデーター、4つの分野に分けてそれぞれの国が位置づけられている。2017年の日本の状況は表1の通り  である。(指数1は男女格差なし、それから離れるほど格差大)

  1. 健康については、ほとんど差がない。以前は女性は出産で死亡する事が多く、平均寿命が下がっていたが、近年衛生思想が向上して、そのようなことはなくなったし、病院での出産が増加したこともあり、出産時に死亡するようなことは稀になっている。男子は戦争で死んでいたのが、これもなくなり、男女とも世界での高寿を誇れるようになっている。また、意図的に男児を生むということも絶無とはいえないまでも、きわめて稀である。
  2. 教育については、基礎教育は非常に良くゆきとどいており、女児についても全く問題はない。ただ高等教育(大学院以上)について格差が存在する。
  3. 経済、女子の就職率は高いが、賃金格差がある。というのも仕事の内容、ポストに男女格差がみられるため、順位は114位になってしまう。
  4. 政治、ここが、最も悪く、123位と最低グループに近く、先進国では全く底である。これは政策決定に代表としての参加を、具体的には国や地方議会での女子の割合を見るもので、日本は123位と低く、この状況が全体の足を引っ張っているのが明らかになっている。

こうしてみると、日本の女性は、健康でちゃんと教育を受け、よく働いているにもかか                          ず社会的地位が低いということになる。特に政治の分野で参画の程度がよくないのである。この状態を改善するために、国や地方の議会へもっと女性を送り出さなければならないと多くの人々に気づいてほしい。最も具体的には、WINWINの活動を盛んにすることだと、GGGI2017の発表をみて痛感したといっても我田引水の批判は受けないであろう。2017年が暮れてゆこうとしている今日、昨夏の総選挙の結果などつらい記憶として思い出している次第である。