時代を視る
2017年8月 ニュースレター 時代を視る Vol.209
2017年8月10日
WIN WIN代表 赤松良子
第2次安倍内閣が、支持率の低迷を気にして内閣改造を行った。その効果を大新聞は軒並み調査して、結果を発表したのを興味深く眺めたが、支持率の上昇は期待されたほどのものではなかった。内閣の骨格はそのままで、(首相、副首相、官房長官は変わらず)失言などで評判を落としていた閣僚を取り替えた程度の改造なので、いっぺんに支持率が上がるほど、甘いものではないという常識的な結論が出たわけである。この内閣は女性の評判が悪く、支持率について男女の格差が32%(女)39%(男)と、改造後においても有意の差が見られる(朝日新聞)。これは、首相のおとりまきばかり集めた「お友だち内閣」と言われていたのを、「アンティアベ」の旗幟鮮明だった野田聖子氏を入閣させて緩和しようと図ったのだろうが、そんな程度では大した効果が出なかった。女性閣僚の数からしてたった2名にすぎない。もちろん、女性が多ければ良いというものではない。改造を待たずに辞任に追い込まれた防衛大臣など失言の数々を見ても、資質を疑われる人のようだが、こういう人をムリムリかばうというのは、女性を尊重することとは対極の事であろう。とは言え、今の時代、女性閣僚が一割というのは寂しすぎる。パリテ(50:50)というのは、かけ声でしかないのかと思いきや、フランスではちゃんと閣議メンバーの半数を女性にして、大統領は公約を果たしたのである。イギリスやドイツは資料が入手できないで、女性比率を詳らかにできないのだが、ちゃんと首相が女性である。悲しいのはアメリカで、折角大統領選挙まで、有力な女性候補が出て史上初の快挙がなるかと期待したが、一寸のところで敗北してしまい、勝った方の男性は、びっくりするような発言が多く、メディアを敵にまわして悪戦苦闘のありさま。ウオーター・ゲートの二の舞になるのではと、世界中をハラハラドキドキさせている。わかりにくいことを言う人で、わが方のファースト・レディと会食で隣席だったが、彼女は全く英語ができなかったと記者に言ったとか。個人的には、全く存じ上げないがたしか英語はちゃんと勉強されたはずだと聞いた。少なくとも日本では一定レベルの人間がYESも言えない、などということは考えられないから、そんなことを言われては、同国人として残念に思うのである。自分の国ではないとはいえ、世界一の強大国のトップが、女性を軽蔑しているような発言をするのを耳にするのは愉快ではないし、まして自分の国のトップが、そんな人にすり寄らなければならないのだとすれば、情けない限りである。そして、何より、そんな相手に気に入られるように、自衛力を強化しようとし、そのための憲法改正を推し進めようというのに至っては、情けないどころの話しではない。もともとの改憲志向が、力を得ているのであれば、空恐ろしい。ただ、近頃与党の中で改憲へ急ぐべきでないとか、時期を示したのは良くないとかの議論が出てきたのは注目したい。もともと、いろいろな意見があるのが自民党であり、そうであるからこそ大きな世帯になっているのであろう。最後の壁が、国民の総意ということになるが、日本国民の多くは平和を愛していると信じたい。