時代を視る
2016年6月 ニュースレター 時代を視る Vol.195
2016年6月10日
WIN WIN代表 赤松良子
さつきが去り、6月を迎えた。6月1日に国会が閉会し、7月に参院選挙となる。 この国会に、クオータ制を推進する法律を成立させることを願ったが、無理である時期自民党も前向きになり、公明党の努力もあって、与野党共同提案の道が開けたかと思ったが、中核となるフレーズをめぐって対立がとけず、不成立に終わったのは、残念としか言いようがない。しかし、このような法律が一朝一夕に成立するなどとは期待するのがどだい無理なのであって、与野党が話し合おうとする空気が出てきただけでも上出来とすべきなのではあるまい か。問題になったフレーズについて詳述すると以下のようになる。
民進党(旧民主党)の提出した「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(中川正春、山尾志桜里議員ほか10名により提出)の第二条第一項は「政治分野における男女共同参画の推進は、衆議院議員、参議院議員及び地方公共団体の議員の選挙において、(政党その他の政治団体の候補者の選定の自由、候補者の立候補の自由、その他の政治活動の自由を確保しつつ)男女の候補者ができる限り同数となることを目指して行われなければならない。」とある。自公両党の提案の同名法案第二条第一項は「政治分野における男女共同参画の推進は、(・・・・・・・・・・・・・・)男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指して行われるものとする。」とある。この「均等」は自民党原案では「均衡」であったものを公明党の仲裁案で「均等」となったものと言われている。さらに公明党による修正案で第八条に「国および地方公共団体は政治分野における男女共同参画が推進されるよう、人材の育成及び活用に資する施策を講ずるよう努めるものとする。」が加えられた。
もし、国会閉会が迫っていなければ与野党が話し合って修文を行い合意することは不可能ではなかったかもしれないのだが、いかんせん、5月末の提案では着地点を見出すことはできなかった。これを受けて、「クオータ制を推進する会(代表赤松良子)」では、「次期臨時国会における超党派合意の形成について~「政治分野における男女共同参画推進法案」及び「公職選挙法一部改正案」の議連二法案について~」を作成して「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」の議員各位あてに送信した。この議員連盟は前国会で役割を終えたと考える向きがあるようだが、上述のような経過を考えると、次国会こそが正念場なのではないのかと感じている。
7月に迫った参院選、クオータ法制が出来ていれば新しい展開がみられたかもしれないのに、期待空しく従来通りの取り組みとなる。しかし前にも述べたように、政党が独自で、男女同数の候補者を立てること、少なくとも女性を3~4割とし、当選させる努力をすることは法律の力がなくとも十分できるのであり、有権者の半数を占める女性が、それを促し、見守ることは大いに有効な政治的態度と言えると確信している。日本の女性の地位が低いことの原因が、政治参画の少なさにあることを思い起こせば、それを強く要望しておきたい。