時代を視る
2016年11月 ニュースレター 時代を視る Vol.200
2016年11月10日
WIN WIN代表 赤松良子
ああ、残念! ガラスの天井が破れなかった。ヒラリー・クリントンまさかの敗北である。何も自分の国のことでもないのに、ヒラリーが大統領になれないからと言って地団駄踏むこともないじゃないかと云う勿れ、彼女が勝つことは、世界の女性をエンカレッジすると思っていたのである。ブラジルだって韓国だって大統領は女性である。世界初というわけではない。
しかし、やっぱりアメリカは世界一の大国で、云いたくはないが格が上だから、そこの大統領に女性がなるというのは意義あることと思えた。でも逆に、それはゴメンだと思う有権者が多かったのだろう。トランプの支援者の中核を占める白人男性はそうだろう。
ヒラリーさんの敗因を冷静に分析してみることも、今必要なことではないかと思うので、少し頭を冷やして考えてみよう。民主党の政権が8年続いたこと。期待された黒人初の大統領がさほどの成果をあげてないとは いえ大きな失政があったわけでもない。それより何より、二期8年続いたあとは変化を、というのがこれまでのかの国の常道であった。第二次大戦中のフランクリン・ルーズベルトは例外として、同一人が三期はなれないことになっているが、人が変わっても政党が同じというのも好まれなという実態があった。ヒラリーが当選すれば民主党が三期続くことになり好ましくないというのが底流にはあったように思われる。
次に、オレの国のトップは男に限るという男性が広汎に存在すること、トランプが特に好きと言うわけではないが、男だからサポートするという、先にあげた人々の存在。これがまさガラスの天井になるのであろう。そして、ヒラリーが嫌だという女性の存在。すばらしい女性なのに、何故嫌われるの?ハーヴァード大卒のエリートで弁護士として成功、ビル・クリントンというハンサムを夫にし、知事夫人、大統領夫人とトントン拍子。オバマ氏に大統領指名選で敗れはしたが、その国務長官に就任して国際的にも有名になり、とあまりにも幸運に恵まれ、その上美女ときている。自分(一般の米女性)と違いすぎでシャクにさわる。一言で云えばjealousy! それで投票しなかった。(これは書いていて情けなくなった)しかし、アメリカは成熟した民主主義の国。オバマ大統領(民主党)は任期完了後粛々と、反対党のトランプ氏に政権を渡す事を表明。アメリカ各地で反トランプのデモは起こっていると報道されてはいるが、来春までには静かになって、70才のトランプ氏(20才年上)に政権移譲が行われるのであろう。
ヒラリーさんの、自分ができなかった「ガラスの天井」が早く破れるよう望むという敗北宣言は、 私達の共通の願いであることは言うまでもない。彼女個人には安全でおだやかな余生が 待っているように願っている。