時代を視る
2017年7月 ニュースレター 時代を視る Vol.208
2017年7月10日
WIN WIN代表 赤松良子
7月3日の東京都議会議員の選挙いわゆる都議選は、非常に興味深い展開になった。
国会議員の選挙ではないとはいえ、国の首都であり人口は国の一割を占める大都市なのだから、ここの選挙は過去に於いても、国政の近未来に直結するものとして注目されてきた。
私の記憶の中では、橋本(龍太郎)内閣が、都議選で大敗し、その結果を見て、首相は責任をとって辞任を決意、内閣総辞職となったことがある。
今回の自民党の大敗は、その時に匹敵する惨敗に違いはないのだが、党の総裁はじめ、
戦犯と目される人たちも知らん顔で済ます様子である。(具体的には自民党は57議席を23と4割に減少。全127議席の2割にも満たず、第一党に躍り上がった都民ファースト49の半分にもならず、公明23、共産19と並ぶ程度の党となってしまった。これまでの最小議席は1965年と2009年の38議席というからまさに歴史的惨敗である)。敗因としては、「森友学園」「加計(かけ)学園」問題(いわゆるモリ・カケ)、「共謀罪」法の強硬採決、相次ぐ閣僚の失言などの逆風が直撃したことにあると見られている。ということは、都議の選挙とは言っても、都政の問題なのではなく、内閣、安倍政権の失政がこの結果をもたらしたのだということになる。閣僚の失言という中で女性が目立ったのはショックである。女性の政治参画を推進することを目標にして活動をしているWIN WINとしては、女性の閣僚が元気でがんばっている姿を見るのは喜こばしく、逆にとんでもないことをされると情けなくなるのだが、近ごろ約一人、情けないのは通り越して、腹立たしくなっている女性がいる。然り、I防衛大臣である。政治的に中立であるべき閣僚が、都議選で自党の立候補者の応援に出かけていくのもいかがなものかと思うが、誰もがやっているという話だから、ここでは触れずにおくとして、「防衛大臣として〇〇に投票するようお願いする」という内容だったとあっては、非常識というか、無自覚というか、何と言ったら適切な非難になるのであろう.あとで撤回したというが、この人は年中失言するという説があるから、そうだとすると、資質の問題だということになり、そんな人を閣僚にした首相の任命責任が問われることになるのは当然の帰結であろう。
都議選に話を戻して、女性の視点から歓迎すべきことがあった。前回25名であったのが、36名になったのである。その半数近くは、都民ファースト所属だというから、女性の知事を支える党にはやはり、女性が多くなるのかとやや納得がいった。しかし防衛大臣の例でも分かるように、女性なら誰でもよいというものではないのだから、「ちゃんと良い女性を選ぼう」ということを肝に銘じておきたい。
女性の割合で目立ったのは、共産党の19人中13人という高さである。逆に自民党は23人中1人、公明党が23人中3人と低い。自民党はそんなことだから惨敗するのだと言いたくなるが、公明党はどうしてなのだろうかと聞きたい気がする。情けないのは民進党で女性ゼロである。これも前回15人だったのが5人に減ったのだから、党全体として惨敗なので、女性に配慮が足りないからだと言わざるを得ないのは、党首が女性なのに残念である。