時代を視る

2014年12月 ニュースレター 時代を視る Vol.177

2014年12月12日

WIN WIN代表 赤松良子

2012年の暮れの総選挙からわずか2年でまたもや年の末に総選挙である。それも、解散しなければならないような事件があったわけでも、国会で大問題が起こったわけでもない。内閣支持率が下落する前に選挙するのが得策という計算しか見えない解散である。直近の内閣改造は9月だったから、まだ3ヶ月しかたっていない。この改造で、女性の支持率の低いのを気にして、女性閣僚を2人からどんと5人にしたのは良かったが、新任の中の2人にカネにまつわる疑惑が浮上し、あっという間に辞任という事態になってしまった。経済重視というふれこみで、アベノミクスという看板を掲げてみたが、大きな効果があがったとも見えず、貧富の格差が拡大しているからアベコベミクスだとの批判も研究者の中から聞こえてくる。

 

ならば、いろいろボロが出ないうちに解散という手に出るのは、戦術としては悪くないのであろう。それかあらぬか、新聞の結果予測では「自民300」という報道が投票10日前に流れた。庶民に取っては忙しい暮れの選挙など迷惑なのに、それで投票率が落ちれば却って好都合だと思うのが政治家、なのであろうか?

 

こちらも忙しいから(選挙の日は丁度大切な会合と重なっている)棄権しようかと思ったが、ここではっと市川房枝氏の顔が浮かんだ。そんなことをしては、あのおばあさまにあの世で会った時、大目玉を頂くことになるよ、と感じたのである。婦人参政権を得るために、つまり、私が、投票ができるようにするために、あの方は長い長い間骨身を削って働かれたのである。今の若い人たちは、生まれた時から女性が参政権を持っている、だから投票できるのは当たり前と思っているのだろう。でもそうではなかったのだ。70年前までは!勿論、市川さんだけではない。歴史を学べば女性が選挙権の無い時代、これではいけないと、まずイギリスやアメリカ等の女性達がそれを要求して、命がけの闘いを繰り広げたのを知ることができる。それに比べればもう少しおだやかではあったが、日本でも1919年の新婦人協会以来、その後身の婦人参政権獲得同盟その他と続く苦難の歴史があったのだ。だから現代の私達は選挙権を仇やおろそかに扱ってはバチがあたるというものなのである。

 

そして、選挙権と同じ、あるいはそれ以上に重要なのが被選挙権であろう。国によっては、女性は先ず選挙権、そして引き続き被選挙権という順で手にした例もあるが、わが国では1945年の公職選挙法改正により同時に実現したのだった。その翌年4月10日の総選挙で、なんと39人の日本女性が代議士となった。しかし、これは無理な点があり、次回から激減したのだが、今やっと初めの水準に戻ったところで、世界の水準から見ると(これがどんどん昇った)とても満足のいくものではない。そこでWIN WINの夢ある人が思いたち、この夏「赤松政経塾」を立ち上げた次第である。政治の分野に限らず、広く社会でリーダーたらんと志す女性の参加をつのり、第一回、第三回と大成功をおさめ(第二回は東京が嵐のため中止した)、来年以降の発展をめざして、がんばっている。会員皆様の力強いご支援を願うや切である