時代を視る

2014年4月 ニュースレター 時代を視る Vol.170

2014年4月10日

WIN WIN代表 赤松良子

大変な犠牲者を出した前大戦の経験から学んで、わが国が戦争をしない国であるのみならず、戦争に加担しない国であることを決意し、その証しとして武器を輸出しないこととしてきた。

 

1967年から続いてきた「武器輸出三原則」がそれである。今度それを撤廃し、新しい三原則を作ることを現内閣が決めた。(2014.4.1)その前日発表されたODA(途上国援助)の軍事利用解禁の検討と連動して、日本は今戦争に加担する国へと大きな転換をしようとしている。戦後営々として築きあげてきた「平和愛好国・日本」のイメージは傷ついてしまうのだから、嘆かわしく悲しい気持ちを抑えることができない。

 

戦後の復興の中で、日本の産業は壊滅的状況から立ち直り、技術を向上させ、生産力を高め、世界に誇れる製品を続々と作り出してきた。その実力を以ってすれば、性能高い武器を作り、輸出することは十分可能であった。しかし、あえてそれをしないということを決意し、海外に向かっても表明してきたことには大きな意味があった筈である。そして、この方針は多少のゆらぎはあったとしても、50年近く国民に支持され、存続してきたのだった。それを簡単に閣議決定で変えてしまっていいものだろうか?? 世界中あちらこちらで紛争がおこる、そういう場所へ日本からODAで金が送られる、そこでは武器が必要だから、日本からもらった金で、日本の武器を買う、戦争が拡大する、さらに武器が必要になる。この悪循環を助長する役割を日本が果していると言われるのは情けない、腹立たしい、あってはならない。せめて、新しい原則できちんと歯止めがかかるようにしてもらいたいと願っている。

 

2月に本欄で「リケジョ」とSTAP細胞について書いたが、その後話しがどうもおかしい方向に進んでいるようで心配になっている。共同研究だというのだから、功績はチーム全体のものである筈だが、週刊誌など無責任に独りのスターを仕立てあげ、あることないこと報道する、当人は舞い上がり、周りの人々は白けて、面白くない気分になる、結果足の引っ張りが起こる、というのはよくあるパターンである。そういう現象は今までいくつも見てきたが、数少ない女性科学者なのだから、何とか内部で支えてあげて、前途有為の才能を踏みつぶさないようにして欲しいと願っている。専門外のこととして、研究の内容は分からず、何の役にも立てないのはまことに残念ではあるが、「リケジョ」を応援したい気持ちは人後に落ちないつもりである。御本人が反省すべきことがあるなら、反省すべきは当然で、その上でわが国のみならず世界の学術水準の向上のために研究に励んで頂きたいと切望している。