時代を視る

2024年12月ニュースレター 時代を視る

2024年12月15日

一般財団法人WIN WIN 代表 山口 積惠

2024年はWINWINにとって激動の年だったといえます。2月6日にWINWIN創設者であり、敬愛する赤松良子さんが94歳で急死なさったからです。振り返れば、1月1日元旦の石川県能登半島で発生した地震の甚大な被害に想いを馳せている最中に、東京羽田空港の惨事も起きています。試練の年の始まりだったのかも知れません。

赤松さんは「女性議員が増えれば社会が変わる」という信念で、生涯女性議員を増やすための活動に尽力くださいました。1999年に「WINWIN」を立ち上げてからは、25年間自ら先頭に立ち、男女平等への長い列に続く、多くの女性を育ててきました。そのぶれない軸足がどれほど心強かったことか。

赤松さんはある取材で、「私は生涯、現役でいたい。そのためにもまずは健康でいることだ」と話されています。そして実践をされていました。鳥居坂のご自宅から麻布十番の本屋さんまで、毎日あの急な坂を往復することを日課にされていたのです。

 

また、毎月10日発行の会員向けニュースレター「時代を視る」を、2004年1月から2024年1月まで20年間執筆くださいました。毎月マスコミを賑わしたニュースのなかから、女性活躍にかかわるニュースを取り上げての評論です。そのウイットに富んだ、赤松節ともいえる文章のファンは多かったのではないでしょうか。

さかのぼる事2013年1月号では、「クオータ制推進の年に!」と宣言されています。ですが当時の衆議院における女性議員比率は7.9%に減ってしまっていました。その数字を見た赤松さんは2009年に10%を越えたのにと、しきりに残念がられていたのが記憶に残っています。

 

さて、骨太で真直ぐな赤松良子さんという柱を失ったWINWINではありますが、「女性議員が増えれば社会が変わる」という赤松さんの意思を継いでいくことに変わりはありません。ただ、これまで赤松さんに頼ってきた組織運営なども、見直す必要があると考えています。定款・会則の見直しなどにも着手して行かねばなりません。会員のみなさまからの意見なども聞きながら進めていき、今後は情報の公開を怠らないようにしなければならないと考えています。

例年、年明けには新年会を開催しています。

2025年も実施の予定です。赤松さんの思い出を語る時間を一緒に過ごせますように、みなさま、是非ご参加下さい。

 

世界では、戦火が拡大する中東で、60日間の一時停戦がようやく実現しました。昨年10月7日にパレスチナのイスラム組織ハマスが、イスラエルに大規模襲撃を行ったのをきっかけに、イスラエルがハマスの壊滅と人質を取り戻すべく、ハマスが実効支配しているパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を続けていましたから、一時的であれ平和を願っていた人々は多かったはずです。

ところが、新聞に小さな記事を見つけました。一時停戦が決まった後の11月29日、ガザ地区でパンを買おうとして店に集まった群衆の中で、子供と大人の計3人が圧死したというのです。戦闘開始以降、食料危機が続くガザ地区で、パンを買おうとした10代の女性2人と50代の女性が大勢に押されて窒息したのです。何とも悲しくてやりきれないニュースです。ガザ地区では、死者は4万人を超えるといわれています。ガザの悲劇はいつまで続くのでしょうか。

「平和」を愛し、戦争には断固「ノー」を明言していた赤松さんだったら、この一時停戦をどう評価されるかと思わずにはいられません。